そう言えば、以前フランス旅行をした際、落書きについて書きました。
美しい田園風景に不似合いなヒップホップ系のカラフルな文字。
これががあちこちに描かれていて不快だったのを思い出します。
しかし、「落書き」をアーティストが描いたら、それは芸術になるのだろうか?
今回はアーティストの奈良美智さんの落書きについて。
ちょっと古い記事ですが、仕事が忙しく上手くまとめられずにほったらかしでした。
相変わらずの駄文で申し訳ないです。
以下記事の引用。
大きなつり目の女の子をモチーフにした絵で世界的に知られる美術家、奈良美智さん(49)が米ニューヨーク市内の駅で落書きをしたとして逮捕されたことが分かった。しかし、単なるいたずらではなく、そこにはアーティストとしての「思い」があったようだ。
奈良さんは2009年2月27日の午前3時すぎ、ユニオン・スクエア駅で落書きをしたとして駅近くの路上で逮捕され、2日間の拘置処分を受けたという。ただし拘置中の生活を回顧して「人生の中ですばらしい体験ができた」「映画のようだった」などと「前向き」なコメントを出した、と複数の米メディアが報じている。
残念ながら、世間の評価は批判的でした・・・。
「低能芸術家」「自己中心的」などなど、国内でも散々な書かれようです。
「中身の無い馬鹿な絵を描くだけの事はある」などの誹謗中傷・・。
どんな落書きだったのかは、すぐ消したとの事なので不明。
以前もイタリアで落書きした女子大生が大きなニュースになっていましたが、
失敗を犯した人間を徹底的に糾弾する社会って何だか恐ろしいですね。
マスコミやコメンテーターは正義感たっぷりにやっているんでしょうが、度が過ぎます。
そもそも、私は正義感や道徳を振りかざす人を信用しない。
もちろんこれらは大切だし、何者にも変えられないものです。
しかし、偽物が大手を振って、いつしか嘘くさい言葉になってしまった様に思う訳です。
時には商売に、時には政治家の偽りを隠す為の方便に・・。
言ってる本人が、最も正義や道徳に無縁な感じがしてしまう。
「正義」は人間の思考を停止させます。
そしてこれを悪用する人間は後を絶ちません。
残念な事ですが、いつしか安っぽい言葉に変化してしまったのかもしれません。
マスコミの言葉を鵜呑みにせず、我々は本物と偽物を見極める目を養わなければ、簡単に悪意ある人間達に利用されてしまうことでしょう。
学生の頃、「なんでこんなつまらん媒体をみんなありがたがるのか」と不思議に思っていましたが、当時の感性は正しかったかもしれません。
どう見たって、ネット上の博識ある方々の意見の方が分かりやすいし面白いですから。
話がそれましたね。
何が怖いって、上記の記事の後半、これが全ての印象を悪くしています。
”「人生の中ですばらしい体験が出来た」と「前向き」なコメントを出した。”
これでは、奈良さんが成功して調子に乗った人、
もしくは社会性の無い芸術家という印象になってしまう。
政治家の問題発言にも見られますが、コメントの一部を抜粋してまるで違った印象にしてしまうマスコミの悪意が見え隠れします。
少なくとも奈良さんは、そんな発言を例えパフォーマンスでもしない人物だと私は
思います。前後の文脈を意図的か、あるいは英語での会話の際の誤解によるものではないだろうかと思う次第です。
そもそもこれってニュースにするような重要な事なのでしょうか?
もちろん、落書きはダメですし、有名なアーティストがそれをやっちゃいけないのかもしれません。
しかし、発想というものは突然わき起こる事もある。
手元に紙が無ければ、どっか身近な場所に書いてしまう事もあるでしょう。
頭で、構成やテーマなりを考えて描くよりも、即興的に手を動かして出来上がる作品の
方が出来が良かったりするものです。
常識とルールを守り、他人に迷惑をかけない事が大人。
しかし、あれもダメ、これもダメ、では面白いものは生まれてこないと思います。
常識に照らし合わせ、他人の評価を気にしながら作った作品はつまらないものです。
ほとばしる熱い情熱を、子供の様な感性でキャンバスにぶつける事がアーティストの仕事。
奈良さんは、「発想の泉」を見事に掘り当てたアーティストの一人だと私は思います。
彼の作品は一見キャラクターのイラストに見えますが、注意深く観察すればその深さに
レベルの違いを感じることができると思います。
だから、彼に関しては落書きをしても良い事にします(笑)
街中好きなだけ描いてほしい。
おまけ
手元に、ストリートアートの洋書があったのでご紹介します。
こういうのをフランスでよく見かけました。
景観を見事に破壊しています。これはクドいし品がないので嫌ですね。
どうしても治安が悪い印象がしてしまいます。
これはかっこいい!
色合いも落ち着いているし、きちんと構成されています。
壁に描いてあるなんてもったいない。
そう来たか!
といった作品ですね。
ピクセルで表現されているところが、いいです。
踏まれて血が・・。演出が細かいです(笑)
この位控えめな色合いなら楽しいです。
絵描きにとって、汚れた壁は絶好のキャンバスなんです。
わざわざ、こういった下地を作るアーチストも多いです。
描きたくなる気持ちも分かります。
標識もいたずらされています(笑)
こういうセンス、好きです。
意味不明ですが、標識もこんな風だと可愛いものです。
まあ、落書きにも良いものはあるという事ですね。
広告にも言える事ですが、派手に目立てばそれでいいというものではないと思います。
ちょっとニヤリとするような、くすぐりが効いているものだったり、なるほどね〜
と感心するようなものがいいです。