「アンティーク&レンガの家作り」


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GacktとKami

今回はちょっと脱線して友人の神村について書こうと思う。

あれは大学時代だったかな。もう15年程前の話。
とある友人Tから連絡があり、久しぶりに高校時代の友人と飲もうという事になった。
都内の居酒屋で待ち合わせ、Tと一緒に行ってみると、髪の長い、いかにもバンドやってます!と言った風貌の男達が数人・・。
「ひさしぶり!」
そのうちの一人がにこやかに声をかけてきたが、始めは誰だかまったく分からなかた。
よくよく見ると、その人懐っこい笑顔がやっと記憶と一致した。
「お〜!ひさしぶり〜!何だよ、すっかりあか抜けたから解らなかったよ」

彼とは同じクラスになった事はないが、体育館の2階で毎日ドラムをたたいていたのが印象に残っている。後にビジュアル系バンドMALICE MIZERでドラムを担当するKamiである。
この時は、彼はまだ無名で友人Tのアパートに転がり込んでいた。
ビジュアル系バンドなど私の守備範囲ではなかったけれど、当時美大生だった私は、夢に向かってもがいているという点ではkamiとは同じ立ち位置であり、妙に話がかみ合い盛り上がった。
見かけは軽そうだったけれど、中身は高校時代とちっとも変わらない田舎特有の純朴さと相変わらず性格の良さがにじみ出ていた。一発当ててやろうみたいなガツガツしたところは無く、純粋に音楽が好きな男だったと思う。
その日は朝方まで飲んで、熱い音楽論と芸術論を語り明かした。

目標に向かって努力している人間はジャンルに関係なく面白い。
言葉一つ一つにその人の生き様が反映されている。世間から見ればただの変わり者かもしれないけれど、話に説得力があるし深みがある。

明け方「お互い頑張ろうな」と握手して別れたのが印象に残っている。

高校時代は「イカ天」の大ヒットにより、空前のバンドブーム。クラスの友人の2割はなんかしらのバンドを組んでいて、学園祭になると相当な盛り上がりだった。神村もそのうちの一人。まさかプロで活躍するとは思ってもなかった。

最近になってようやくMALICE MIZERのPV をじっくり見る機会があった。
うまく表現出来ないけどとにかく「美しい」のだ。
これは男が見ても納得するのではないだろうか。とにかく魅入ってしまう。
青臭いかっこつけバンドは、共感と評価を暗に求める努力が見え隠れし、言葉を発した瞬間にその薄っぺらさに興ざめすものだけれど、かれらは一線を画している。
これは演出家によって作られたものなのか?
それにしては見事にはまっている・・

演出や衣装デザインの力の入れ方にも目を見張るものがある。中世ヨーロッパの衣装を現代風に見事に昇華させている点においても秀逸だ。
虚無、儚さ、死を暗示させつつ、そこに美を見いだしている。手に届きそうでいて届かない。突き放しているようで、そうでもない。微妙なバランス感覚。
ありがちと侮るなかれ!楽曲に説得力のある裏付けがなければ、こうはいかない。
どれひとつ欠けても、ただのコミックバンドかアキバ系になってしまう難しい分野なのである。
正直ミュージシャンのPVなんてファンじゃなければ退屈極まりないものが多い中、これには正直驚いた。


大学卒業後は私も仕事が忙しく、風の便りでKamiの活躍は知っていたが、なんとなく連絡できず疎遠になっていた。しばらくして友人Tから連絡があり、彼が亡くなったことを知った。

葬式には出なかった。ファンの方が沢山来てくれていたから。

ほとぼりが冷めた頃、Tともう一人の友人3人で彼の自宅にお邪魔させてもらい、彼の遺影に挨拶して墓参りをした。
田んぼの一角にある彼のお墓はなんとなく物寂しく、北風が線香の煙を空に舞い上げていく。「そんなのありかよ」とそっとつぶやいたが、返事はもちろん無かった。
ただただ、静けさだけが物悲しく辺りを覆いつくしていた・・・。

夢に向かって同じ時代を生きた人間を失うのは非常に辛いものがある。
自分の中では単なる友人ではない。言わば同志みたいな存在。まして成功してこれからと言うときに逝ってしまうなんて、やはり悲しすぎる。

最近ニュースに出ていたのでご存知の方もいるかもしれないが、
Gacktが高校の卒業式に来てくれたらしい。
彼が神村のご両親の心の支えになっていることはTから聞いている。
毎年墓参りもしてくれるそうだ。なかなか出来ることではない。
Gacktの人柄を感じさせる。
「一度しかない人生だから。失った時間は戻ってこないから」
「彼とはよくバカをやったりケンカをしたり、先が見えずに もがいていた。もし彼が生きていたら、ここに来て君たちの背中を押したんじゃないかなと 思います。今日は、僕があいつのかわりに君たちの背中を押したいと思います」
後輩達に彼の思いは届いたのだろうか・・

大学受験に失敗して自殺してしまった高校の友人もいる。
後輩達はどうか諦めずにまっすぐに生きてほしいものだ。

神村、いい友人を持ったな・・。
先に逝っちまうなんて、お前は親不孝ものだよ。
多くのファンを悲しませて・・・。
もうあれから10年か・・。
今年も3人で墓参りに行くよ。












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この記事に対するコメント

初めまして。突然失礼いたします。
5年ほど前にMALICE MIZERのことを知り、ファンになった者です。
日記を拝見して、とても心が温かくなりました。
kamiさんは良いお友達を沢山お持ちなんですね。
どうもありがとうございました。
yumeko | 2008/06/26 3:19 AM
yumeko様
コメントありがとうございます。
MALICE MIZERいいバンドですね。
仕事にかまけて、リアルタイムで神村の活躍が見られなかったのが
残念で仕方がありません。
仕事場に寝泊まりする生活スタイルだったので・・
それでもマメに連絡するべきだったなと後悔もします。
たらればの話ですが・・。
これからもMALICE MIZERを応援してくださいね。
バンドはファンが育てるものですから。


ishikawa | 2008/06/26 4:48 PM
今さらながら、書き込み。
今年はお墓参りに行きたいなぁ。
kana | 2012/05/28 10:53 PM
2014年になっての書き込みです・・。マリスはいいバンドです。私はマリスが結成しているときまだ生まれていないときでした。前から知っていたバンドです。いま、活動していないバンドでも私の胸のなかで彼らは活躍しています。kamiさんの存在一度も忘れたことはありません。
mana | 2014/02/03 6:04 PM
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